配当通知書は、会計年度が終わった後の確定申告(Tax Return)の時に必要になるので、大切に保管しておきましょう。
では実際に、どのように使われるのでしょうか。
「配当通知書の見方 はじめに」で使った(例)の数字で具体的に見てみたいと思います。
その(例)は以下の通りでした。
・Class of Security(株式の種類):Ordinary Shares(普通株)
・Holding(保有株式数):10,000(10,000株)
・Payment Rate一株当たり配当額:7.2000c(7.2セント)
・Dividend Amount(配当額):$720.00
・Less Withholding Tax(源泉徴収税額):$50.00
・Net Dividend( 税引き後配当額):$670.00
NZ Tax Information(ニュージーランド税情報)
・NZ Imputation Credit(ニュージーランド・インピューテション・クレジット):$280.00
・Withholding Tax(源泉徴収税額):$50.00
・Gross Dividend(総配当額):$1,000.00
上記の中で 確定申告(Tax Return)に必要な数字は、「ニュージーランド税情報」に書かれた最後の3つです。
この数字を、IRD(国税局)のサイトにある確定申告 (Tax Return)が必要かどうか診断するワークシートに入力してみました。
(尚、実際の確定申告では、配当を会社ごとに入力するので、同じ入力画面ではありません。悪しからず)
話を簡単にするために他の収入はないという前提です。
左側の「Total dividends received」には、配当通知書のGross Dividend(総配当額)$1,000.00を入力します。
また、右側の「RWT deducted 」には、配当通知書のWithholding Tax(源泉徴収税額)$50.00を、そして、「Imputation credits」には、配当通知書のNZ Imputation Credit(ニュージーランド・インピューテション・クレジット)の$280.00をそれぞれ入力します。
するとこのような結果が出てきました。
ちょっと見づらいかもしれませんが、上段の最終行 Taxable income(課税所得)は$1,000.00となっています。
下段のYour tax calculation(税計算)の結果は以下の通りです。
尚、所得は他にない前提なので、税率は10.5%が適用されています。
Tax on taxable income(課税額)は、課税所得額$1,000.00の10.5%である$105.00。
しかし、Imputation credit(インピューテション・クレジット)が$280.00あるので、Tax on taxable income after imputation credit(インピューテション・クレジット適用後の課税額)は$0.00となります。
また、配当支払い時に源泉徴収された Total tax paid (total tax deducted at source )の$50.00については、インピューテーション・クレジットの残り($280-$105=$175)がまだあるため、Refund(還付)されます。
ここで注意しなければいけないことが一つあります。
インピューテーション・クレジットの適用は、課税額が上限になるということです。
もし他に所得がない場合には、$50.00の還付後、まだ インピューテーション・クレジットに残り($175-%50=$125)があっても、それは戻って来ません。
一方で、この配当以外に例えば銀行からの金利収入があって、 その分課税額があれば、めでたくその課税額に適用され税金が戻ってきます。
上記の例をおさらいすると、確定申告(Tax Return)することによって、$720の配当から源泉徴収された$50が還付(Refund)され、実質無税となります。
また、もし他に所得があって課税されている場合には、更に$125まで還付されることになります。
配当に税金がかからないばかりか、実質的に$845($720+$125)の配当を無税でもらったのと同じ効果が得られることになります。
やったー!
これはかなり嬉しいです。
最後に、このシミュレーションはあくまで参考なので、実際の確定申告 (Tax Return)の際には会計士に相談するなど、自己責任でお願いします。
ニュージーランド株を中心にオーストラリア株、アメリカ株への投資を通じてミリオネアをめざしています。ポートフォリオは現金・預金・債券:株式=50:50で、インカムを確保しつつ成長を狙っています。基本的に株式は長期に保有し、配当再投資制度をフルに活用しています。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
アーゴシー・プロパティー(ARG) 2019年度決算発表 増収増益
アーゴシー・プロパティー(ARG) が、2019年度の決算を発表しました。 嬉しい増収増益です。 2018年度 2019年度 増減 % 売上(賃貸収入)(百万ドル) $101.0 $102.5 +$1.5 +1% 純利益(百万ドル) $98.2 $133...
-
like-for-like とは、既存(店、施設、物件)ベースで、という意味です。 LFLと略す場合もあります。 (例)like-for-like growth of 5.5% = 既存店ベースでの5.5%の売上増 LFL sales = 既存店ベース売上 ...
-
前回の 「 配当通知書の見方 はじめに」 の続きです。 さて、配当通知書に出てくる IMPUTATION CREDIT とは、一体どんなクレジットで、日本語では何というのでしょうか。 そう思った方は、グーグルで 「IMPUTATION CREDIT 日本語」と検索してみて...
-
ニュージーランドで株式投資を始めるには、まず証券会社に口座を開かなければなりません。 え、でも英語ででしょ? という方、大丈夫です。 頑張って下さい。 証券会社は、大きく分けるとフルサービスの証券会社と、オンラインの証券会社に分けることができます。 フルサービスの...
0 件のコメント:
コメントを投稿