2018年5月14日月曜日

配当通知書の見方 IMPUTATION CREDITとは

前回の「 配当通知書の見方 はじめに」の続きです。

さて、配当通知書に出てくる IMPUTATION CREDIT とは、一体どんなクレジットで、日本語では何というのでしょうか。

そう思った方は、グーグルで 「IMPUTATION CREDIT 日本語」と検索してみて下さい。

すると、あーら不思議、「インピューテーション・クレジット」と出てきます。

そのまんまです。

かつて明治時代にPhilosophyを「哲学」と訳したような偉い人は、残念ながら現代にはまだいないようです。

ということなので、日本語訳は置いておいて、まずはその意味として、法人税と所得税の二重課税を防ぐためのものと理解して下さい。

会社は、利益を得ると国に法人税を支払います。

因みに、現在のニュージーランドの法人税率は28%です。

そして、その税引き後の利益から株主に配当を支払います。

それを受けて、今度は株主はその所得に応じて所得税を支払わなければなりません。

所得総額に応じた所得税率は、以下の通りです。

・$0    -$14,000:10.5%
・$14,000-$48,000:17.5%
・$48,000-$70,000:30.0%
・$70,000-      :33.0%


すると、株主は法人税を支払った後でそこから更にこの所得税を支払うことになってしまいます。

それはボッタくりというもの、、、ではなく、二重課税です。

ここで、そもそも論を挿みます。

株主とは、ただ単に株式を持っている人、という意味ではありません。

株主とは、会社のオーナー=所有者です。

そして、自分が所有している会社が利益を上げ法人税を支払い、そして、その残りの中から所有者の間でその持ち分に応じて分配するのが配当です。

なので、株主はもう既に一律28%の税金を支払っていることになります。

(ここで、そもそも論は終わりです)

ただし、個々の株主によってその所得税率が異なります。

所得税率が10.5% の人もいれば、33%の人もいるわけです。

そして10.5%の人にすれば法人税率の28%は支払い過ぎですし、所得税率が33%の人にとっては5%分支払い不足です。

そこで、その解決策として、法人税として支払った28%分の 金額をインピューテーション・クレジットとして配当に加え、その合計金額を株主の所得とみなし、そのみなした所得に応じた所得税率で所得税を計算し、最終的に確定申告(Tax Return)で過不足を調整します。

このようにして、二重課税を防ぐ役割を果たすのが、インピューテーション・クレジットです。

こうしてみると、前回の例で「総配当額」と直訳したGross Dividendは、意味的には「みなし配当額」と訳していいのかもしれません。

同じように、無理やり Imputation Credit を日本語訳するとすれば、

「二重課税防止用法人税相当分一旦戻し額」あるいは「みなし配当額計算用調整額」とでもなるのでしょうか。

「哲学」のようなキリッ!とした用語が欲しいところです。

追伸:

因みに、オーストラリアでは IMPUTATION CREDIT のことを FRANKING CREDIT と呼んでいます。

グーグルで「FRANKING CREDIT 日本語」と検索すると何と出てくると思いますか?

その通り。

「フランキング・クレジット」と出てきます。

やっぱり、そのまんまです。



























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