これまでの話は、「銀行の自己資本規制 Additional Tier 1、Tier 2 とは何ぞや?」をご覧下さい。
平時には高金利を享受できるが、金融危機などの際には毀損リスクがあるという永久劣後債。
毀損リスクなどと聞くと、恐ろしい限りです。
しかし、ただただ怯えているだけでは、話は先に進みません。
要は、発行元であるANZ銀行がしっかりしていればいい訳です。
ということで、ANZ銀行の2017年度のアニュアルレポート(年次報告書)を引っ張り出してきました。
そして、普段なら決して見ることのない後半の「注記」を見て、資本構成比率をまとめてみました。
2017 Annual Report 127ページ 「22.CAPITAL MANAGEMENT」より。
資本構成の内容を、もう一度おさらいしてみます。
バーゼルⅢで認められる資本は以下の通りです。
・Common Equity Tier1:普通株、内部留保など
・Additional Tier1:優先株、永久劣後債など
・Tier2:期限付き劣後債、一般貸倒引当金など
そして、その最低必要比率は、それぞれ4.5%、1.5%、2.0%、合計8.0%です。
それに対して、ANZ銀行の資本構成比率はどうなっているのでしょう。
2016年度の比率は、それぞれ9.6%、2.2%、2.5%、合計14.3%。
そして、2017年度は、10.6%、2.0%、2.2%、合計14.8%です。
かなりの余裕があるように見えます。
バーゼルⅢ規制はまだ過渡期であり、また、各国政府がどれだけの自己資本比率を銀行に求めるかは各国に任されています。
そして、オーストラリアの当局(オーストラリア健全性規制庁)が定めた、2020年1月までに達成が求められている Common Equity Tier1 の最低必要比率は10.5%です。
2017年度のANZ銀行の Common Equity Tier1 の比率は10.6%ですから、既に達成していることになります。
ちょっと安心しました。
尚、参考までに、資本構成額は以下の通りとなっていました。
単位は百万ドル。
自己資本比率を求めるための分母となるリスク加重資産は、2016年度が408,582百万ドル、2017年度が391,113百万ドルです。
それぞれの年度のリスク加重資産額で、2016年度の自己資本58,613百万ドル、2017年度の自己資本57,993百万ドルを割ると、
2016年度 58,613百万ドル ÷408,582百万ドル=14.3%
2017年度 57,993百万ドル÷391,113百万ドル=14.8%
となります。
ほら、ちゃんと合ってます。
今回はANZ銀行の資本構成だけを調べてみましたが、今後、他銀行の資本構成も調べて比較もしてみたいと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿