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2018年6月3日日曜日

銀行の自己資本規制 オーストラリア4大銀行の自己資本比較

以前、「銀行の自己資本規制 ANZ銀行はどれくらいの自己資本があるのか?」で、以下のようなことを言って(しま)いました。

「今回はANZ銀行の資本構成だけを調べてみましたが、今後、他銀行の資本構成も調べて比較もしてみたいと思います。」

その約束を果たすために、各行の最新決算である2018年度前期決算報告書を調べました。

ただし、 決算時期の違いから、コモンウェルス・オーストラリア銀行(CBA)だけ2017年12月末の数字で、他の3行は2018年3月末の数字です。

オーストラリアの4大銀行といえば、

・ANZ銀行(ANZ)

・ウェストパック銀行(WBC)

・コモンウェルス・オーストラリア銀行(CBA)=ASB銀行の親会社

・ナショナル・オーストラリア銀行 (NAB)=BNZ銀行の親会社

の4行。


オーストラリアには、(ややこしいことに)自己資本を規制する基準が2つあります。

ひとつは、バーゼル銀行監視委員会のいわゆるバーゼルⅢ規制で、国際比較が可能なもの(以下、「国際基準」)。

そして、もうひとつが、オーストラリア独自の基準であるAPRA基準(以下、「APRA基準」)です。

APRAとは、Australian Prudential Regulation Authority (オーストラリア健全性規制庁)のことです。

APRA基準は、国際基準に加えて、住宅ローン分だけ更なる資本を独自に要求されているため、より厳しい基準となっています。

そして、APRAは、2020年1月1日までに、CET1(Common Equity Tier 1) 比率を10.5%以上にするように求めています。

前置きはこれくらいにして、実際にオーストラリア4大銀行の自己資本比率を見てみましょう。

まずは、APRA基準から。

APRA基準ANZWBCCBANAB
CET1(Common Equity Tier 1)11.0%10.5%10.4%10.2%
AT1(Additional Tier 1)1.9%2.3%2.0%2.2%
Tier 1(CET1+AT1)12.9%12.8%12.4%12.4%
Tier 22.0%2.0%2.4%2.0%
資本合計(Tier 1+Tier 2)14.9%14.8%14.8%14.4%

 
CET1(グラフの青色)を見ると、ANZ銀行が11.0%、ウェストパック銀行が10.5%と、既に2020年1月までに達成が要請されている10.5%基準をクリアしています。

特にANZ銀行は11.0%ですからブッチギリです。

これを見る限り、私の保有するANZ銀行のキャピタル・ノート(永久劣後債)も安泰でしょう。

それに対して、コモンウェルス・オーストラリア銀行の10.4%はあと一歩、ナショナル・オーストラリア銀行に至ってはあと三歩(?)といったところでしょうか。

頑張ってもらいましょう。

続いて、国際基準の方も見てみましょう。

国際基準ANZWBCCBANAB
CET1(Common Equity Tier 1)16.3%16.1%16.3%14.6%
AT1(Additional Tier 1)2.4%3.0%2.4%2.9%
Tier 1(CET1+AT1)18.7%19.1%18.7%17.5%
Tier 22.6%2.6%2.8%2.6%
資本合計(Tier 1+Tier 2)21.3%21.7%21.5%20.1%

 

バーゼルⅢが求めている国際基準の最低必要比率である、CET1の4.5%、AT1の1.5%、Tier 2の2.0%、合計8.0%を軽くクリアしています。

折角の国際基準ですから、世界の金融機関の中でオーストラリアの銀行がどれくらいの位置にあるのか興味があったのですが、打ってつけの資料を見つけました。

コモンウェルス・オーストラリア銀行(CBA)の2018年度前期決算報告書の97ページにありました。

2017年12月末時点の数字であり、更に、他3行の数字は2017年9月末時点と更に古いですが、おおよその感覚は掴めると思います。


銀行CET1 比率
1・・・21.7%
2CBA16.3%
3WBC16.2%
4ANZ15.8%

・・・
10NAB14.5%

・・・
16三井住友銀行13.3%

・・・
26WFC(USA)11.9%
27みずほ銀行11.9%

・・・
30三菱UFJ銀行11.5%


何と、2位から4位までをオーストラリアの銀行が占め、 ナショナル・オーストラリア銀行 (NAB)も10位に付けているではありませんか。

流石は、オーストラリアの厳しい基準にイジメられて、否、鍛えられて、自己資本は国際的に見ても十分に盤石です。

日本の大手銀行である、三井住友銀行が16位、みずほ銀行が27位、三菱UFJ銀行が30位であるところからも、その盤石性が際立ちます。

オーストラリアの4大銀行、見直しました。

それぞれの銀行の100ページを超える中間決算報告書を調べた甲斐があったというものです。

ということで、今回はオーストラリア4大銀行の自己資本の比較でした。








2018年5月27日日曜日

銀行の自己資本規制 ANZ銀行はどれくらいの自己資本があるのか?

ANZ銀行発行のキャピタル・ノート(ANBHB) の話の続きです。

これまでの話は、「銀行の自己資本規制 Additional Tier 1、Tier 2 とは何ぞや?」をご覧下さい。

平時には高金利を享受できるが、金融危機などの際には毀損リスクがあるという永久劣後債。

毀損リスクなどと聞くと、恐ろしい限りです。

しかし、ただただ怯えているだけでは、話は先に進みません。

要は、発行元であるANZ銀行がしっかりしていればいい訳です。

ということで、ANZ銀行の2017年度のアニュアルレポート(年次報告書)を引っ張り出してきました。

そして、普段なら決して見ることのない後半の「注記」を見て、資本構成比率をまとめてみました。

2017 Annual Report 127ページ 「22.CAPITAL MANAGEMENT」より。

最低必要比率ANZ 2016年度ANZ 2017年度
Common Equity Tier 14.5%9.6%10.6%
Additional Tier 11.5%2.2%2.0%
Tier 22.0%2.5%2.2%
合計8.0%14.3%14.8%

資本構成の内容を、もう一度おさらいしてみます。

バーゼルⅢで認められる資本は以下の通りです。
 
・Common Equity Tier1:普通株、内部留保など

・Additional Tier1:優先株、永久劣後債など

・Tier2:期限付き劣後債、一般貸倒引当金など

そして、その最低必要比率は、それぞれ4.5%、1.5%、2.0%、合計8.0%です。

それに対して、ANZ銀行の資本構成比率はどうなっているのでしょう。

2016年度の比率は、それぞれ9.6%、2.2%、2.5%、合計14.3%。

そして、2017年度は、10.6%、2.0%、2.2%、合計14.8%です。
 
 かなりの余裕があるように見えます。

 バーゼルⅢ規制はまだ過渡期であり、また、各国政府がどれだけの自己資本比率を銀行に求めるかは各国に任されています。

そして、オーストラリアの当局(オーストラリア健全性規制庁)が定めた、2020年1月までに達成が求められている Common Equity Tier1 の最低必要比率は10.5%です。

2017年度のANZ銀行の Common Equity Tier1 の比率は10.6%ですから、既に達成していることになります。

ちょっと安心しました。

尚、参考までに、資本構成額は以下の通りとなっていました。

ANZ 2016年度ANZ 2017年度
Common Equity Tier 1$39,267$41,336
Additional Equity 1$9,018$7,988
Tier 2$10,328$8,669
合計$58,613$57,993


単位は百万ドル。

自己資本比率を求めるための分母となるリスク加重資産は、2016年度が408,582百万ドル、2017年度が391,113百万ドルです。

それぞれの年度のリスク加重資産額で、2016年度の自己資本58,613百万ドル、2017年度の自己資本57,993百万ドルを割ると、

2016年度 58,613百万ドル ÷408,582百万ドル=14.3%

2017年度  57,993百万ドル÷391,113百万ドル=14.8%

となります。

ほら、ちゃんと合ってます。

今回はANZ銀行の資本構成だけを調べてみましたが、今後、他銀行の資本構成も調べて比較もしてみたいと思います。

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