「今回はANZ銀行の資本構成だけを調べてみましたが、今後、他銀行の資本構成も調べて比較もしてみたいと思います。」
その約束を果たすために、各行の最新決算である2018年度前期決算報告書を調べました。
ただし、 決算時期の違いから、コモンウェルス・オーストラリア銀行(CBA)だけ2017年12月末の数字で、他の3行は2018年3月末の数字です。
オーストラリアの4大銀行といえば、
・ANZ銀行(ANZ)
・ウェストパック銀行(WBC)
・コモンウェルス・オーストラリア銀行(CBA)=ASB銀行の親会社
・ナショナル・オーストラリア銀行 (NAB)=BNZ銀行の親会社
の4行。
オーストラリアには、(ややこしいことに)自己資本を規制する基準が2つあります。
ひとつは、バーゼル銀行監視委員会のいわゆるバーゼルⅢ規制で、国際比較が可能なもの(以下、「国際基準」)。
そして、もうひとつが、オーストラリア独自の基準であるAPRA基準(以下、「APRA基準」)です。
APRAとは、Australian Prudential Regulation Authority (オーストラリア健全性規制庁)のことです。
APRA基準は、国際基準に加えて、住宅ローン分だけ更なる資本を独自に要求されているため、より厳しい基準となっています。
そして、APRAは、2020年1月1日までに、CET1(Common Equity Tier 1) 比率を10.5%以上にするように求めています。
前置きはこれくらいにして、実際にオーストラリア4大銀行の自己資本比率を見てみましょう。
まずは、APRA基準から。
CET1(グラフの青色)を見ると、ANZ銀行が11.0%、ウェストパック銀行が10.5%と、既に2020年1月までに達成が要請されている10.5%基準をクリアしています。
特にANZ銀行は11.0%ですからブッチギリです。
これを見る限り、私の保有するANZ銀行のキャピタル・ノート(永久劣後債)も安泰でしょう。
それに対して、コモンウェルス・オーストラリア銀行の10.4%はあと一歩、ナショナル・オーストラリア銀行に至ってはあと三歩(?)といったところでしょうか。
頑張ってもらいましょう。
続いて、国際基準の方も見てみましょう。
バーゼルⅢが求めている国際基準の最低必要比率である、CET1の4.5%、AT1の1.5%、Tier 2の2.0%、合計8.0%を軽くクリアしています。
折角の国際基準ですから、世界の金融機関の中でオーストラリアの銀行がどれくらいの位置にあるのか興味があったのですが、打ってつけの資料を見つけました。
コモンウェルス・オーストラリア銀行(CBA)の2018年度前期決算報告書の97ページにありました。
2017年12月末時点の数字であり、更に、他3行の数字は2017年9月末時点と更に古いですが、おおよその感覚は掴めると思います。
何と、2位から4位までをオーストラリアの銀行が占め、 ナショナル・オーストラリア銀行 (NAB)も10位に付けているではありませんか。
流石は、オーストラリアの厳しい基準にイジメられて、否、鍛えられて、自己資本は国際的に見ても十分に盤石です。
日本の大手銀行である、三井住友銀行が16位、みずほ銀行が27位、三菱UFJ銀行が30位であるところからも、その盤石性が際立ちます。
オーストラリアの4大銀行、見直しました。
それぞれの銀行の100ページを超える中間決算報告書を調べた甲斐があったというものです。
ということで、今回はオーストラリア4大銀行の自己資本の比較でした。
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