2018年11月14日水曜日

売上/営業利益/純利益 決算用語和訳の補足説明 その3.営業利益

これまで、その1で「売上」その2で「色々な利益」について話をしてきました。

今回は「営業利益」について話をしたいと思います。

繰り返しになりますが、このブログでは英語を和訳する際には基本的にできるだけ「売上」、「営業利益」、「純利益」という言葉を使うようにしています。

「営業利益」でいえば、「営業利益」を会社や業界に応じて広義の「本業の儲けを表す数値」として捉え、決算発表時の業績評価をできるだけ分かりやすくするためです。

そして、結論から先に言うと、表では「営業利益」と表記しながら、実際には「EBIT」、「Operating income」、「Operating profit」以外にも、会社や業界によっては「EBT」、「EBITDA」、「EBITDAF」の数字を記すことがあります。

会社によって、どのように「営業利益」が使われているか、具体的に見てみましょう。

INCOME, PROFIT


まずは分かりやすい例から。

例えば、アマゾン(AMZN)の場合。

損益計算書中で、「営業費用」(OPERATING EXPENSES) を引いたものがズバリ OPERATING INCOME となっているので簡単です。

その数字をそのまま「営業利益」としています。

例えば、フィッシャーアンドパイケル・ヘルスケア(FPH)の場合。

「売上総利益」(GROSS PROFIT) から「営業費用」(TOTAL OPERATING EXPENSES) を引いたものが OPERATING PROFIT BEFORE FINANCING COST となっています。

上記と同様にこの数字を「営業利益」としています。

NBT


多少変わっているのが銀行です。

例えば、コモンウェルス銀行(CBA)の場合。

「営業収入」から 「営業費用」OPERATING EXPENSES を引いたものが、いきなり NET PROFIT BEFORE INCOME TAX (「NBT」=税引き前利益) になっています。

考えてみれば、銀行の場合、「売上」の中で、利息収入(INTEREST INCOME) から利息費用(INTEREST EXPENSE) を既に引いており、BEFORE INTEREST ではなく AFTER INTEREST になっています。

従って、通常であれば「営業利益」となるべき「EBIT」はありえなく、「NBT」しかないのだろうと思います。

ということで、結果として「NBT」を「営業利益」として記しています。

EBITDA


更に変わっているのが、設備投資額が大きい会社です。

例えばインフラ事業のコーラス(CNU) の場合。

決算書にこんなことが書かれています。

要約すると、

「EBITDA」はNon-GAAPの利益指標であるが、コーラスはこれを主要なパフォーマンス指標として追っている。そして、この指標は、株主がコーラスの中核業務のパフォーマンスを評価する際の手助けになるものと信じている、

とのこと。

こんなことを言われたら、私も「EBITDA」をパフォーマンスの指標として追うしかないではないですか。

ということで、コーラス(CNU) などの会社の場合は、「EBITDA」を「営業利益」として使っています。

EBITDAF


電力会社の場合は、これが「EBITDAF」になります。

例えば、メリディアン電力(MEL)はこんなことを言っています。

減価償却費など現金の移動を伴わない費用を取り除いたり、資金構造や税金の影響を受けない「EBITDAF」を使うことにより、他の電力会社との業績比較をよりよくすることができる。

これも、「事業の評価をするなら是非とも『EBITDAF』を使ってくれ」ということだと思います。

ということで、電力会社の場合には、「EBITDAF」を「営業利益」として記載しています。

以上、会社や業界によって異なる段階の利益を「営業利益」としている例を挙げてみました。

決算発表があった時の業績評価を読む際に、上記を頭に浮かべながら読み進めてもらえればと思います。














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