2018年6月23日土曜日

メリディアン電力債(MEL050)の購入

証券会社の担当者から、新発のメリディアン電力債の話があったので申し込みました。

7年満期で、利率は4.21%。

最低投資額はNZ$5,000です。

unsecured unsubordinated bond なので、無担保非劣後債。

S&Pのレートは、発行体、債券ともにBBB+で、投資適格です。

無担保とはいえ電力会社の社債なのでまず問題ないでしょう。

この電力債に投資することに決めた理由を整理してみます。

ポートフォリオ

ここのところ株式が値上がりしています。

その結果、私のポートフォリオも、株式に対する債券の割合が下がってきていました。

従って、アセット・アロケーションで設定している50:50の割合に近づけるために、株式ではなく債券投資をすることにしました。

利率

最近のANZ銀行の5年定期預金金利は4.10%。

それに対して、この債券は7年満期で4.21%です。

ほぼ変わりません。

今後、方向としては利上げが予想されているので、7年満期は不利かもしれません。

金利が上昇すれば、債券価格は下落するからです。

しかし、金利動向はいつどうなるか分かりません。

また、基本的に満期まで保有する予定なので、とりあえず価格変動を気にする必要もありません。

流動性

上記と矛盾してしまうかもしれませんが、途中解約がしやすいのも魅力です。

定期預金の途中解約にはかなりのペナルティーを伴います。

それに対して債券は売却しやすいため、流動性確保のために選択しました。

以上、購入理由をまとめてみました。

最後に、従来の新発債券購入と比べて、今回の債券で失望した点を2点記します。

1.期日前の入金に利息が付かない

今回の入金期日は6月27日です。

今まで購入した新発債の場合、期日以前に入金した場合にも債券金利と同様の金利が付いたものですが、今回は付かないとのこと。

ということで、今回はぎりぎり6月27日に入金する予定です。

2.販売手数料が掛かる

今まで購入した新発債の場合、販売手数料は発行体が負担していました。

従って、購入する際、販売手数料は一切払っていませんでした。

しかし、今回は購入者が販売手数料を負担するとのこと。

ちょっと残念です。

かなりセコイ話ですが、一銭を笑う者は一銭に泣くです。

以上、メリディアン電力債購入のお話でした。











2018年6月15日金曜日

DIVIDEND GROWTH 配当の成長

今回は DIVIDEND GROWTH 配当の成長のお話です。

話を具体的にするために、フィッシャーアンドパイケル・ヘルスケア(FPH)を例に取ります。

フィッシャーアンドパイケル・ヘルスケア(FPH)の6月14日の終値は$15.01。

2018年度の配当は、中間配当が 8.75セント、最終配当が12.5セントで、合計21.25セントです。

すると、配当利回りは、1.42%となります。

$0.2125÷$15.01=1.42%

そんなに高い配当利回りではありません。

過去5年間の配当利回りを見てもこんなものです。


株価配当(セント)配当利回り
2013年度$3.313212.43.74%
2014年度$4.492412.42.76%
2015年度$6.948413.81.99%
2016年度$10.326616.71.62%
2017年度$11.128519.51.75%
2018年度$15.0121.251.42%


因みに、この株価は、2018年度以外はフィッシャーアンドパイケル・ヘルスケア(FPH) のDRP(配当再投資)に使われた株価を使っています。

見ての通り、株価はこの5年間で約5倍になってあるので文句はありません。

 配当金額も、2014年度以降順調に増えています。
 

しかし、配当利回りを見てみると、配当収入をあてにしている人にとってはちょっと見劣りします。



しかし、ここで見方をちょっと変えてみましょう。

私は最初の フィッシャーアンドパイケル・ヘルスケア(FPH)株を5年前に買いました。

実際の購入価格は$3.50でしたが、ここでは2013年度のDRPに使われた株価の$3.3132を使うことにします。

すると、毎年の配当利回りを計算する分母は、投資額の$3.3132になります。


購入株価配当(セント)配当利回り
2013年度$3.313212.43.74%
2014年度$3.313212.43.74%
2015年度$3.313213.84.17%
2016年度$3.313216.75.04%
2017年度$3.313219.55.89%
2018年度$3.313221.256.41%

するとどうでしょう。

例えば、2018年度の株価は$15.10になっていますが、実際の購入株価は$3.3132ですから、5年前に購入していれば2018年度の配当利回りは6.41%となります。

$0.2125÷$3.3132=6.41%

その他の年度の配当利回りも含めてグラフにするとこのようになります。



これがDIVIDEND GROWTH 配当の成長です。

このまま行けば、いずれ年10%超の利回りになることでしょう。

このような DIVIDEND GROWTH 配当の成長 をする株式に投資をして、後はそれを長期に保有する、これがミリオネアになるための極意といえるでしょう。

では、どうすればそんな銘柄を見つけられるのか?

過去の実績がそのまま将来も続くとは限りません。

しかし、過去の配当がどのように伸びていたか(あるいは伸びなかったか)を調べてみることは大切な一歩だといえます。

今回は、DIVIDEND GROWTH 配当の成長のお話でした。







2018年6月13日水曜日

ティーゲル(TGH)  TARGET COMPANY STATEMENT 発表

6月11日(月)、ティーゲル(TGH)の TARGET COMPANY STATEMENT が発表されました。

これまでの経緯は、

「ティーゲル(TGH)に買収話 私の持ち株は一体どうなるのか?」

「ティーゲル(TGH) の正式買収提案受信 To sell, or not to sell, that is the question.」

をご覧下さい。

結論から先に言うと、

「バウンティーの買収提案を受け入れた方がいいです」

というものでした。

理由としては、

1.$1.23の買収価格は適正

客観的な企業価値を割り出すと、$1.15~$1.39で、$1.23はほぼ中間値である。

2.$1.23の買収価格はプレミアムが付いている

$1.23は、発表前4月24日の株価である$0.82の50%増しであり、発表前三か月の平均株価$0.98の25.4%増しと、いずれも株主にとって有利な価格である。

3.買収の最低条件であるバウンティーによる株式取得50%は既に満たされている

6月7日時点で、バウンティーは16.3%所有しており、また45%の株式を所有しているクラリスを含めて46.1%の株式所有者が既に買収に同意しており、合計で62.4%の取得が確定している。

4. 買収がなされた後の少数株主の不確実性が増す

買収後の戦略や配当政策がどうなるか未知数である。場合によっては、今までと同等の配当が得られなくなる可能性がある。

5.買収成立後、株式の流動性が減る

大多数の株式をバウンティーが所有すると、株式市場での流動性が減って、売ろうにも売れなくなる可能性がある。

6.この買収提案がなければ株価はまた下がってしまう可能性が高い

7.その中でバウンティー以外の買収先はない

うーん、 そこまで言われると、もう私も買収提案に応じて売るしかないのかなあ。

配当が極端に減ったり、株価が思い切り下がったり、何より売れなくなったりしたら目も当てられないもんなあ。

そう思ったのですが、最後に謎めいた文言が書いてありました。

それは、、、。

この買収提案の締め切りは8月25日。

まだOversea Investment Office(海外投資局)の承認を取り付ける必要があるなど、まだ買収条件は満たされていない。

一旦買収を受け入れてしまうと、後から取り消すことはできない。

従って、、、。

早急に買収提案を受けてもメリットはない、との文言が。

これを深読みすれば、、、

早急に受け入れたりするな!

するんじゃないぞ!

ギリギリまで待って焦らしてやれ!

そうすれば、もっと買収価格を上げてくるかもしれないぞ!

そうだ、そうだ、きっとそうだ!

最後は私の願望が98%ほど入ってしまいましたが、以上をまとめると、

1.買収提案は受け入れた方がよい

2.ただし、早急に受け入れることはせずに、8月25日までもうしばらく事態を見守れ

ということになりそうです。







  

2018年6月10日日曜日

アーゴシー・プロパティー(ARG)の投資家向け運用報告会 おまけ

アーゴシー・プロパティー(ARG)の投資家向け運用報告会では、遂に経営陣と話をしてきました。

経営陣によるプレゼンテーションの後、コーヒーやフィンガーフードが振舞われる簡単な立食会があります。

(プレゼンテーションの内容については、「アーゴシー・プロパティー(ARG)の投資家向け運用報告会に行ってきました」をご覧下さい)

その際、経営陣は出席した株主と気さくに話をしているのですが、上手く人が途切れた瞬間がありました。

意を決して、「エクスキューズ・ミー」と声を掛けました。

声を掛けたのは、CEO(最高刑責任者)のピーター・メンス氏です。

この報告会では、配当通知書の内容について聞いてみたいことがあったのです。

「どうして不動産投資信託の配当は、次の二つの部分に分かれているのか」

という疑問についてです。

1. Fully imputed dividend(インピューテーション・クレジット付配当)

2. Excluded income(確定申告の際に収入に含めなくて良い配当)

私の拙い英語にもかかわらず、真剣に聞いてくれました。

そして、私の質問に答え始めたのですが、途中で、

「この件だったら、デイブの方が詳しいので彼を紹介しましょう」

と言って、デイブ氏に声を掛けてくれました。

後で調べてみたところ、そのデイブ氏は、CFO(最高財務責任者)のデイブ・フレーザー氏でした。

デイブ氏も終始にこやかに説明をしてくれました。


「 インピューテーション・クレジットを付けることによって、税率が28%以下の人は確定申告で税金が戻ってくるんです」

とても親切に説明してくれるのですが、どうも説明が投資家にとって税金の扱いが有利になるという話が続きます。

何度か話を戻そうと試みたのですが、なぜ配当が二つの部分に分かれているのかという話にはなりません。
 
 「 税率が30%や33%の人は配当全体を収入に含めない選択をしていいんですよ。」

という説明に、隣で聞いていた女性が、

「全体を収入に含めなくてもいいんですか?」

などと参戦してきて、完全に話は税金面で優遇されるという話に落ち着いてしまいました。

「税金を払わなくていいのはいいことですからね、ハハハ!」

ボクガキキタイノハ、ソウイウコトデハナクテ、、、とは思うものの、もうこの流れを変えて話を元に戻す気力は湧いてこず、

「サンキューベリマッチ。話を聞けて良かったです」

と言って、退散してしまいました。

高校生の頃、先生に質問に行って、結局疑問が解決しないまま、

「ありがとうございました」

と言って帰って来た時のことを思い出しながら。

人間、年をとっても性格は変わらないものです。

しかし、今回はとにかく経営陣と話をする機会を逃すことなく頑張って来たことでよしとしたいと思います。

野球の応援でいえばこんな感じでしょうか。

「次回の攻撃に期待して、守備につく選手に大きな拍手を送りましょう!」







2018年6月8日金曜日

アーゴシー・プロパティー(ARG)の投資家向け運用報告会に行ってきました

アーゴシー・プロパティー(ARG)の投資家向け運用報告会に行ってきました。

この報告会の概要については、「アーゴシー・プロパティー(ARG)の投資家向け運用報告会の案内が来ました」をご覧下さい。


今年はいつものエアフォース・ミュージアムの会場がほぼ満席になる大盛況でした。

出席者は年配の方々ばかりでアジア人は私ひとりです。

内容は、5月23日に発表になった、アーゴシー・プロパティー(ARG) の2018年度決算発表 に沿ったものでしたが、 いくつか面白い話が聞けました。

アーゴシー・プロパティー(ARG)が所有する不動産は、オークランドが7割、ウェリントンが2割強、残りが1割弱と、ほぼオークランドに集中しています。

そのオークランドの地価はかなり高騰しきっていて、現状以上に不動産を購入しても十分な利益を上げられる状況にはないとのこと。

 そこで、現在は物件の数を増やすのではなく、物件の質を高める戦略を取っているとの説明でした。

「量より質」戦略です(私が勝手に名付けました)。

ということで、所有している不動産で戦略に合わないものは、プレミアムのついた価格で売却も進めているとのこと。

また、資産に対する借入金の割合、つまり借入比率のターゲットを、35%~40%から30%~40%へと、下限を低く変更しています。


そして売却益で借入金を返済して、ターゲットの下限である30%に近づけ、いつかしかるべき物件が出た時に柔軟な対応が取れるようにするとのこと。

因みに、現在の借入比率は35.9%です。

Q&Aで株主からDRP(配当再投資制度)の復活はないのかと聞かれた際も、現状出資金を増やしても十分な利益を生み出す購入物件がないため、しばらくは復活はないと答えていました。

これだけ聞くと、まるで事業を縮小しているように聞こえますが、決してそうではありません。

不動産の「グリーン・ビルディング化」を進めて、質を高め、テナントに高付加価値の不動産を提供することで、賃貸料の値上げに成功しているとのことです。

例えば、部屋の明るさを感知して自動的に照明を調整するシステムを導入して、テナントの電気代負担を軽減する。

また、物件の屋根に降った雨水を集め、浄化した水をお手洗いなどで使って、テナントの水道代を減らすなどです。

そのような物件を提供することによって、テナントの総経費節減を訴え、賃貸料の値上げを勝ち取るとは、なんという攻めの姿勢でしょうか。

また、この「グリーン・ビルディング化」は賃貸料を上げるだけではなく、物件価値も上げるので、まさに一石二鳥の戦略と言えるでしょう。

こんな不動産業界の最前線の話を聞けるというのも、報告会の醍醐味だと思います。

そして、今年も、アーゴシー・プロパティー(ARG)への投資が間違っていないことを確信させてくれました。

今年も出席してよかったです。









2018年6月6日水曜日

ティーゲル(TGH) の正式買収提案受信 To sell, or not to sell, that is the question.  

ティーゲル(TGH)の買収先であるバウンティーから、正式な提案の手紙が私のところにも送られてきました。

5月28日付けです。

その買収提案の内容は、以前に 「ティーゲル(TGH)に買収話 私の持ち株は一体どうなるのか?」で紹介したした通りです。

買収価格は、一株$1.23。

買収話が持ち上がった時点の株価である$0.82の50%増し価格です。

また、$0.041の配当支払いも認められているとのこと。

従って、実質的な買収価格は、$1.271になります。

そして、株主に与えられた猶予期間は、8月25日まで。

この買収価格を受け入れる場合は、その日までに同封されてきた受諾の通知書を提出しなければなりません。

果たしてどうするべきか。

以前にも書きましたが、IPO時に一株$1.55で購入した身としては、今回の買収価格はちょっと納得できません。

ただし、問題は、今回の買収提案を受諾しなかった場合に、保有する株式がどうなってしまうのか、全く記載がないことです。

買収が成功した場合でも、ティーゲル(TGH)という会社は存続するのか。

それともバウンティーという会社になってしまうのか。

インターネット上には有益な情報はなく、また、ただ座って悶々として考えていても、答えは出てきません。

ということで、ティーゲル(TGH) に直接メールで聞いてみることにしました。

質問は、以下の3点です。

1.バウンティーの買収が成功した場合、ティーゲル(TGH)はどうなるのか?

2.ニュージーランド株式市場には上場したままなのか?

3.買収提案を受諾しないとどうなるのか?

すると、クイーンズバースデーが明けた翌日、早速ティーゲルの担当者から丁寧な返信が届きました。

その回答内容は次の通りです。

1.買収が成功した場合にティーゲル(TGH)がどうなるかについては、バウンティーがその計画をまだ明らかにしていないので、残念ながら答えることができない。

2.バウンティーが今回の買収提案で、90%未満の株式しか取得できなかった場合には、ティーゲル(TGH)はニュージーランドの株式市場に(オーストラリアの株式市場にも)残る。

しかし、90%以上の株式を取得した場合には、強制的に残りの株式も全て取得されてしまうので、ティーゲル(TGH)はニュージーランド及びオーストラリアの株式市場から上場廃止となる。

 3.尚、6月11日(月)に買収対象会社声明(Target Company Statement)が発表されるので、その詳細と、議長から株主への対応勧告を参考にして欲しい。

以上の通り、痒いところに手が届くように、私が知りたいと思っていたことが書いてありました。

また、実は、同時に証券会社の担当者にも上記と同様な質問をしていました。

その回答によると、どうやら証券会社では今回の買収提案で90%以上の株式取得を見込んでいるようで、「提案を受けようが受けまいが最終的には同じ額を受け取って終了するだろう」とのこと。

身も蓋もない言いようです。

また、$1.23の価格は、最近のティーゲル(TGH)の業績や株価を考えるとかなりよい買収価格だといえる、とのことでした。

こうなると、あまり投資家に選択肢はなさそうに思えます。

しかし、世の中、何が起こるか分かりません。

取りあえずは、6月11日(月)の 買収対象会社声明(Target Company Statement)を待ちたいと思います。



2018年6月4日月曜日

コモンウェルス・オーストラリア銀行(CBA) 700百万AUドルの罰金 それでも株価上昇の不思議

今日の夕方のこと。

ゆっくりと茶の間で6時からのニュースを見ていたら、とんでもないニュースが飛び込んできました。

コモンウェルス・オーストラリア銀行(CBA) に700百万AUドルの罰金が科された、というのです。

それも、アンチ・マネーロンダリングとテロ資金対策法違反で。

700百万AUドルは、オーストラリアの会社が被る史上最高額の罰金だそうです。

何という事をしてくれたのでしょう。

慌ててネットニュースを見てみたところ、容疑は以下の通りでした。

コモンウェルス・オーストラリア銀行(CBA)には、「インテリジェント預入機械」というものがあるそうです。

インテリジェントなどと言っていますが、多分、日本の銀行のATMのようなものだと思います。

その機械を使って10,000ドル以上の現金が入金された場合には、10営業日以内に当局に届け出る義務があるとのこと。

ところが、(「single coding error」と書いてあったので推測すると)コンピューターのプログラムの不備で、53,700件分の報告が漏れてなされなかったのだと。

なーんだ、そんなことで?

そう思ったのは私だけでしょうか。

しかし、その報告がなされなかったために、大金がギャングの手に渡り、海外からの違法薬物の輸入に繋がった(かもしれない?)ということです。

正論のようなこじ付けのような。

何よりも、そんなことで(!?)、700百万AUドルの罰金が科されたのだとすると、株価も当然ガクッと下がっているのだと覚悟しました。

しかし、、、。

実際には、この発表がなされた後、一株$68.70だった株価が$70.23に急騰したとのこと。

+2.2%の上昇です。

どういうことでしょう?

どうやら、市場はもっと高い罰金を覚悟していたというのです。

理論上は、報告義務違反一件当たり18百万ドル とすると、53,700件の報告義務違反で、合計966,600百万ドル。

つまり、1兆ドル近くの罰金もありえたとのこと。


それが 700百万ドルの「はした金」で済んだのなら安いものだ、というところでしょうか。

怖い話です。

と言っても金額の話ではありません。

私が言う怖い話というのは、こんな事件が起きていたのに、今日まで私がそれを全く知らずにいたことです。

これからは、世界の出来事にもっと目を向けて、敏感でいたいと思ったのでした。

ただまあ、今回は「知らぬが仏」だったということで。

因みに、今日の終値は、急騰してからちょっと落ちて、前日比+$0.99の$69.69でした。



















2018年6月3日日曜日

銀行の自己資本規制 オーストラリア4大銀行の自己資本比較

以前、「銀行の自己資本規制 ANZ銀行はどれくらいの自己資本があるのか?」で、以下のようなことを言って(しま)いました。

「今回はANZ銀行の資本構成だけを調べてみましたが、今後、他銀行の資本構成も調べて比較もしてみたいと思います。」

その約束を果たすために、各行の最新決算である2018年度前期決算報告書を調べました。

ただし、 決算時期の違いから、コモンウェルス・オーストラリア銀行(CBA)だけ2017年12月末の数字で、他の3行は2018年3月末の数字です。

オーストラリアの4大銀行といえば、

・ANZ銀行(ANZ)

・ウェストパック銀行(WBC)

・コモンウェルス・オーストラリア銀行(CBA)=ASB銀行の親会社

・ナショナル・オーストラリア銀行 (NAB)=BNZ銀行の親会社

の4行。


オーストラリアには、(ややこしいことに)自己資本を規制する基準が2つあります。

ひとつは、バーゼル銀行監視委員会のいわゆるバーゼルⅢ規制で、国際比較が可能なもの(以下、「国際基準」)。

そして、もうひとつが、オーストラリア独自の基準であるAPRA基準(以下、「APRA基準」)です。

APRAとは、Australian Prudential Regulation Authority (オーストラリア健全性規制庁)のことです。

APRA基準は、国際基準に加えて、住宅ローン分だけ更なる資本を独自に要求されているため、より厳しい基準となっています。

そして、APRAは、2020年1月1日までに、CET1(Common Equity Tier 1) 比率を10.5%以上にするように求めています。

前置きはこれくらいにして、実際にオーストラリア4大銀行の自己資本比率を見てみましょう。

まずは、APRA基準から。

APRA基準ANZWBCCBANAB
CET1(Common Equity Tier 1)11.0%10.5%10.4%10.2%
AT1(Additional Tier 1)1.9%2.3%2.0%2.2%
Tier 1(CET1+AT1)12.9%12.8%12.4%12.4%
Tier 22.0%2.0%2.4%2.0%
資本合計(Tier 1+Tier 2)14.9%14.8%14.8%14.4%

 
CET1(グラフの青色)を見ると、ANZ銀行が11.0%、ウェストパック銀行が10.5%と、既に2020年1月までに達成が要請されている10.5%基準をクリアしています。

特にANZ銀行は11.0%ですからブッチギリです。

これを見る限り、私の保有するANZ銀行のキャピタル・ノート(永久劣後債)も安泰でしょう。

それに対して、コモンウェルス・オーストラリア銀行の10.4%はあと一歩、ナショナル・オーストラリア銀行に至ってはあと三歩(?)といったところでしょうか。

頑張ってもらいましょう。

続いて、国際基準の方も見てみましょう。

国際基準ANZWBCCBANAB
CET1(Common Equity Tier 1)16.3%16.1%16.3%14.6%
AT1(Additional Tier 1)2.4%3.0%2.4%2.9%
Tier 1(CET1+AT1)18.7%19.1%18.7%17.5%
Tier 22.6%2.6%2.8%2.6%
資本合計(Tier 1+Tier 2)21.3%21.7%21.5%20.1%

 

バーゼルⅢが求めている国際基準の最低必要比率である、CET1の4.5%、AT1の1.5%、Tier 2の2.0%、合計8.0%を軽くクリアしています。

折角の国際基準ですから、世界の金融機関の中でオーストラリアの銀行がどれくらいの位置にあるのか興味があったのですが、打ってつけの資料を見つけました。

コモンウェルス・オーストラリア銀行(CBA)の2018年度前期決算報告書の97ページにありました。

2017年12月末時点の数字であり、更に、他3行の数字は2017年9月末時点と更に古いですが、おおよその感覚は掴めると思います。


銀行CET1 比率
1・・・21.7%
2CBA16.3%
3WBC16.2%
4ANZ15.8%

・・・
10NAB14.5%

・・・
16三井住友銀行13.3%

・・・
26WFC(USA)11.9%
27みずほ銀行11.9%

・・・
30三菱UFJ銀行11.5%


何と、2位から4位までをオーストラリアの銀行が占め、 ナショナル・オーストラリア銀行 (NAB)も10位に付けているではありませんか。

流石は、オーストラリアの厳しい基準にイジメられて、否、鍛えられて、自己資本は国際的に見ても十分に盤石です。

日本の大手銀行である、三井住友銀行が16位、みずほ銀行が27位、三菱UFJ銀行が30位であるところからも、その盤石性が際立ちます。

オーストラリアの4大銀行、見直しました。

それぞれの銀行の100ページを超える中間決算報告書を調べた甲斐があったというものです。

ということで、今回はオーストラリア4大銀行の自己資本の比較でした。








アーゴシー・プロパティー(ARG) 2019年度決算発表 増収増益

アーゴシー・プロパティー(ARG) が、2019年度の決算を発表しました。 嬉しい増収増益です。 2018年度 2019年度 増減 % 売上(賃貸収入)(百万ドル) $101.0 $102.5 +$1.5 +1% 純利益(百万ドル) $98.2 $133...